特別用途地区とは

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特別用途地区とはいったい何なの?
 
不動産情報を見ていてよく目にするのが「特別用途地区」という不動産用語です。
しかし、この特別用途地区とは、いったい何なのかと疑問に思った方も多いことでしょう。
今回は、特別用途地区とはいったいどのようなもので、どのような特性を持った地区なのかについて解説します。
 

特別用途地区とは?

特別用途地区とは、都市計画に定められた地区の1つです。
建物の種類や用途を定めた「用途地域」に重ねて指定されるもので、それ以外の地域に指定されることはありません。
用途地域には、低層住居専用地域や工業専用地域など13種類の専用地域がありますが、その用途地域について、よりきめの細かい制限や緩和を求めて指定される地区のことを特別用途地区といいます。
この特別用途地区は市町村が指定します。
なお、1993年(平成10年)までは、特別用途地区は特別工業地区や商業専用地区など11種類に限定されていましたが、都市計画法改正により地域の事情に応じて自治体で自由に定められるようになりました。
 

特別用途地区での制限や緩和について

特別用途地区では、当該地区の土地利用の増進や環境の保護などを目的として指定されるために、建築物の建築制限または禁止に関する規定が設けられます。
具体的な建築制限や禁止に関する規定は、自治体の条例で定められます。
その一方で、特別用途地区では用途制限の強化が図られるだけでなく、国土交通大臣の承認を受けて規制が緩和される場合もあります。
 

特別用途地区の種類には

地域の特性に応じて、特別用途地区には次のように種類があります。
それぞれの特徴について、簡単に解説します。

特別工業地区

特別工業地区は、中小規模の工場の多い地域で産業をより振興させるために定められた地区のことです。
この地区では、地場産業の保護や公害を防止するために工業の業種や業態に対する制限があります。

文教地区

文教地区は教育に関係する施設が多く、学校、図書館、博物館などが集まっている地区のことをいいます。
教育、文化、研究活動のための環境整備を目的としているために、風俗店、映画館、ホテルなどの建築物は禁止されます。

小売店舗地区

小売店舗地区とは、食料品、衣料品を除いた、キッチン用品や文房具、その他日用品などを販売する小売店舗が集まる地区をいいます。
この地区では、ホテル、キャバレー、デパートなどの建築物は規制されます。

事務所地区

事務所地区とは、市役所など自治体の行政施設や企業の施設を一定のエリアに集めて、事務効率の向上を図るための地区をいいます。

厚生地区

厚生地区とは、医療施設や保育所などの施設がある地区を対象に厚生施設の集積の促進と環境を保護するための地区をいいます。
風俗店やパチンコなどの娯楽施設の進出を規制します。

娯楽・レクリエーション地区

娯楽・シクリエーション地区とは、商業地域内で娯楽施設やレクリエーション施設の集積の促進と環境の維持を図るための地区をいいます。
劇場や映画館、バーやキャバレーなどの盛り場などが集中するように指定します。

観光地区

観光地区とは、各自治体の温泉地、観光地などの維持・整備を図るための地区をいいます。有名な温泉地、港町などが指定されることが多いです。

特別業務地区

特別業務地区とは、商業地域の内、卸売業務機能や自動車サービス機能の増進と環境維持のために市町村が指定する地区をいいます。

中高層住居専用地区

中高層住居専用地区とは、大都市の都心部など一定の地域を中高層ビル住宅の建築のための地域に限定し、住民の増加や定住化を促進するための地区です。
キャバレーや個室浴場などの用途に供する建築物は禁止されています。

商業専用地区

商業専用地区とは、都市部に見られるような大規模なショッピングセンターや業務ビルなどを集約し、育成・保護するための地区です。

研究開発地区

研究開発地区とは、企業等の製品開発のための研究所など施設の集積を図り、環境の保護や利便性を推進するための地区です。
研究のための環境に支障があるような工場や大規模な集客施設は制限されます。

まとめ

不動産用語の特別用途地区について、簡単に解説してきました。
不動産用語は、なかなか馴染みのないものですが、知らないと損をすることも多々あります。
できるだけ不動産用語に触れて理解を深めてほしいものです。