地上権

地上権とは?

不動産の取引においては、物件調査が極めて重要です。物件調査の中でも、登記事項証明書(登記簿謄本)を取得することで、その不動産の権利関係などが確認できるため、購入する前に必ずチェックするようにしましょう。登記事項証明書の中には、不動産に関する様々な情報が含まれており、その中の1つに「地上権設定」という項目があります。
「地上権」とは、不動産に建築物や工作物、樹木などの所有権を持つために、不動産の所有者(地主)と契約を結び、一定期間、その不動産を使用する権利を有することを指します。これは借地権の一つであり、建物を建てるために必要な場合や、庭木を植えたい場合などに利用されます。
 

地上権と賃借権の違い

借地権の中でも一般的に広まっているのは「貸借権」ですが、「地上権」という名称も存在します。この地上権には、賃借権とは違う特徴があります。
まず、地上権を設定する際には必ず登記が必要となります。そのため、不動産の登記簿を確認すれば、その物件が地上権が設定されているかどうかがすぐにわかります。
また、賃借料は特に定めがないため、賃貸契約のような金銭のやりとりはありません。ただし、地代がかかる場合が多いです。一方、賃貸住宅などでは、家賃が明確に決められています。
さらに、地上権を持つ人は、地主の承諾なしにその権利を譲渡することができます。つまり、自由に売買することができます。また、地上権を持つ建物自体が価値を持つため、抵当権を設定することもできます。
地上権賃借権
権利物権(ものに対する権利)債権(人に対する権利)
登記登記義務あり登記義務なし
譲渡地主の承諾不要地主の承諾必要
地代かからない(かかる場合あり)かかる
借地借家法適用あり適用あり
抵当権地上権に設定可能設定不可(建物には設定可能)

区分地上権と法定地上権

区分地上権

土地に接している部分だけに地上権が発生するわけではありません。土地の空間的利用が進み、建築技術や都市開発の発展に伴い、立体的な土地の利用が必要になってきました。その中で、地下空間や地上の空間にも、所有権の範囲に地上権が含まれます。そして、土地立体的な利用の需要が増していく中、区分地上権が新設されました。
区分地上権は、所有者が土地や建物の一部分を分離して、それを個別に売買、賃貸できる権利を持つことができる地上権です。区分地上権は、所有者が自由に利用できる他の地盤部分や建物とは別の物的な権利を有しており、法律上独立したものとして扱われます。区分地上権は、都市開発において、土地利用計画の適正な規律を定めるために新たに設けられたものであり、現在では最も多く利用されています。
区分地上権の利用において最大の利点は、所有権が変更された場合でも引き続き権利を保有できることです。通常の不動産取引では所有者が変わった時点で権利は消滅しますが、区分地上権では権利が維持されるため、所有者の変更に伴って再契約などの手続きが簡便になります。

法定地上権

法定地上権が発生するには、抵当権の設定時に土地上に建物が建っていることが必要です。また、法定地上権は、「抵当権設定時に土地と建物の所有者が同じである」「土地と建物の一方または両方に抵当権が設定されている」「土地または建物の競売によって所有者が別々になってしまった」場合に限り発生します。
地上権が発生しない場合、抵当権が行使され、建物のみが競売にかけられた場合、建物を取得した所有者は土地を自由に使用できず、将来的にその建物を所有者から譲渡する場合に問題が生じる可能性があります。そのため、法定地上権を第三者に対抗できるように登記する必要があります。

地上権のメリット・デメリット

不動産を所有する人にとって、「地上権」と「賃借権」のどちらが有利かは、その人の目的によって異なります。地上権には、自由に買手を選択する自由と担保を設定できるメリットがあります。しかしながら、土地所有者にとっては、建物の所有者が自由に売買できる地上権ではなく、賃借権を設定することで、建物の売買が行われる度に承諾料を得ることができます。
しかし、土地所有者としては、自身の土地に無断で住んでいる「地上権利者」が現れる事態は好ましくありません。さらに、土地を購入する際には、その土地に関する法的問題がないか確認した上で、購入することが一般的です。こういった事情から、地上権を設定することは、取引に時間やコストを要するかもしれません。
もうひとつ、土地を持つ人が地下鉄や道路建設のために地上権を設定する場合、補償金を得ることができます。