地役権

地役権の特徴

地役権とは、土地を特定の目的で利用するために、その土地の所有者に対して一定の権利を与えるものです。通行地役権は、その中でも最も一般的なもので、所有者以外が自分の土地を通行するために隣接する土地を利用できる権利を持つことを意味します。具体的には、駅や商業施設などのアクセスを確保するために、通行地役権が設定されることがあります。通行地役権を設定する場合、土地所有者は「要役地」、通行される土地所有者は「承役地」と呼ばれます。
 

囲繞地通行権とは違う?

囲繞地通行権という権利は、地役権と似ていますが、細部においては異なります。この二つの権利を比較することで、地役権についてより深く理解することができます。
囲繞地通行権は、公道に接していない土地を所有する人が、周囲を取り囲む土地を通行する権利です。つまり、自分が所有している土地から公道に出るために、他人の土地を通行することができるということです。囲繞地を取り巻く形で所有しているため、所有者にとって便利な場所を選んで通行することができます。

地役権は時効が存在する

地役権は、契約期間内であっても、時効によって消滅することがあります。その期間については、通常契約によって定められます。ただし、行使が妨げられる事実が生じた場合には、地役権が20年で消滅することが法的に定められています。「行使妨害」とは、例えば、合意された通行部分に建物が建ち、通行できなくなった場合など、通行地役権の場合には、事実上の通行の妨害を示すものです。このような状況が続いた場合、当該地役権は消滅時効と呼ばれる法的ルールによって消滅します。したがって、地役権者は、消滅時効によって失効する可能性があることを把握しておく必要があります。

地役権は登記が必要

土地所有者と地役権所有者が合意に達したら、地役権に関する登記を行うことが必要です。地役権設定の登記を行わない場合、承役地の土地所有者が変わった際に、前所有者との合意内容を新所有者に主張することができません。つまり、地役権設定が無記名であることで、新所有者が以前の合意内容を認めないことがあるということです。また、登記をしなかった場合、土地の所有者が変わっても、地役権設定内容は維持されないことがあるため、通行料や特定の使用制限について新所有者が従うことができなくなります。
登記を行うことで、次の所有者は引き続き、期限内であれば、要役地・承役地ともに地役権設定内容を順守しなければなりません。

地役権に該当する土地を購入する場合の注意点

ここでは地役権に該当する土地を購入する場合の注意点について解説していきます。

現地は必ず確認する

土地を購入する際には、その土地に地役権が設定されていないかどうかを確認することが重要です。地役権とは、土地の所有者が他人に対して、土地を使用する権利を与えたもので、道路や通行権、日照権などが挙げられます。登記簿には地役権が記載されていることがありますが、使用する側が長年にわたって土地を使用し続けることで、時効によって地役権を取得することもあります。このような場合、地役権を取得した使用者は、道路や通行権などを有するようになります。
地役権を含む土地を購入する際には、購入前に必ず現地を見に行くことや不動産会社に確認することが重要です。

地役権は変更できる

地役権設定は一度登記すれば、後からも期間や使用料金などを変更することができます。ただし、変更を行うには、関係する当事者同士で合意する必要があります。例えば、期間を延ばしたい場合や使用料金を変更したい場合は、承役地の所有者次第です。しかし、変更には、地権者の同意も必要です。また、変更を行う場合には、地役権設定書の修正を行う必要があります。修正後、登記官に提出することで、変更が正式に承認されます。こうした変更は、所有権の譲渡や抵当権の設定などと同様に、不動産登記の手続きが必要となります。地役権設定を行うときは、将来的な変更や修正についても考慮し、必要最小限の内容にとどめることが大切です。