マンションの建替え等の円滑化に関する法律

マンションの建て替え等の円滑化に関する法律(マンション建替え円滑法)とは

日本では耐震性が不十分なマンションの存在や基本的条件を欠く老朽化マンションの増加が問題となっています。そこで、これらのマンションの建て替えや除去の円滑化を図る必要があり、そのための法律がマンション建替え円滑法です。 この法律は、地震によるマンションの倒壊や老朽化したマンションの損壊などの被害から生命・身体・財産を保護し、国民生活の安定と経済の健全な発達に寄与することを目的としています(法第1条)。

マンション建替え決議と建替え合意

マンションの建替えを希望する者は、建替え決議のための集会を開催し、建替え決議を実施します。建替え決議で建替えに賛成した者は建替え参加者となり、建替えの合意がなされます。他方、反対者に対しては、建替えに参加するか否かを書面で通知し、参加の回答をした者は建替え参加者となります。不参加の回答や無回答だった者については、建替え参加者から売渡請求がなされます。

マンション建替え組合とは

主体となるマンション建替え組合

マンション建替え事業を行うことができるのは、マンション建替え組合です。この組合は、マンションの建替えを行う合意をした者だけでなく、マンション建替え事業に参加することを希望した者も組合員になることができます。

建替え組合成立から売渡請求までの流れ

建替え組合の設立のためには、マンションの建替えを行う合意をした者が、5人以上共同して定款や事業計画を定めます。設立の認可を申請しようとする者は、建替え合意者の同意を得た後、都道府県知事に対して組合設立の認可申請を行います。 マンションまたはその敷地に権利を有する者は、事業計画に意見のある時は都道府県知事に意見書を提出します。都道府県知事は建替え組合の設立を認可した場合、公告をします。これにより建替え組合は法人格を有します。そして、建替えに賛成しない区分所有者に対して区分所有権等を時価で売り渡すことを請求できます。

権利変換手続きとは

マンション円滑化法の適用により、都道府県知事等が認可する権利変換計画に基づき、区分所有権、敷地利用権、抵当権その他の権利を再建マンションに円滑に移行させることが可能になっています。

権利変換手続きの流れ

権利変換手続きをするために、手続き開始の登記を申請します。その後、建替え組合は権利変換計画の原案を作成し、総会で議決します。そして、権利変換計画を認可申請書とともに都道府県知事に提出することになります。 権利変換計画の認可を得られた場合、建替え組合は公告して関係権利者に関係事項を通知します。そして、建替え組合は、権利変換計画についての総会の議決に賛成しなかった組合員に対して、区分所有権及び敷地利用権を時価で売り渡すことを請求できます。なお、権利変換を希望しなかった者等に補償金を支払わなければなりません。

施行マンションの明渡しから建替え組合の解散までの流れ

権利変換期日になると施行マンションは建替え組合の所有となりますが、マンションの占有者は建替え組合が通知する施行マンションの明渡期限までは占有することができます。 建替え組合は、マンション建替え事業にかかる工事のため必要があるときは、占有者に対して明渡しを求めることができます。 施行マンションの明渡しが完了すると、施行マンションを解体・除却し、施行再建マンションの建設をします。工事が完了したときは、その旨を公告し、かつ、区分所有権及び借家権を取得する者に通知します。その後、建物の表示登記等をする必要があります。 また、建替え組合は、事業に要した費用の額を確定し、かつ、施行再建マンションの区分所有権または敷地利用権の価額、賃貸する部分の家賃の額を確定して、その額を通知します。 建替えの前後で区分所有権等の価額に差額がある場合、建替え組合はその差額に相当する金額を清算しなければなりません。 建替え事業が完成した後は、建替え組合は都道府県知事の認可を受けて解散します。