文化財保護法とは
文化財保護法とは
「文化財保護法」とは、文化財を保存・活用することを目的とし、従来の「国宝保存法」「史跡名勝天然記念物保存法」などを統合して、1950年(昭和25年)に制定された法律です。文化財保護法では、「有形文化財」「無形文化財」「民俗文化財」「記念物」「文化的景観」「伝統的建造物群」の6種類を文化財として定義しています。そして、文化財のうち重要なものを、「国宝」「重要文化財」「重要無形文化財」「重要有形民俗文化財」「重要無形民俗文化財」「史跡」「名勝」「天然記念物」等として国が指定し、特に保護することとしています。国に指定された「国宝」や「重要文化財」等については、文化庁の国指定文化財等データベースで検索することも可能です。
埋蔵文化財包蔵地に該当している場合の建築等の制限
「土地に埋蔵されている文化財(主に「遺跡」といわれている場所)」のことを「埋蔵文化財」といいます(文化財保護法第92条)。 また、埋蔵文化財の存在が知られている土地(「周知の埋蔵文化財包蔵地」という)は、全国で約46万か所あり、毎年9千件程度の発掘調査が行われています。例えば、石器・土器などの遺物や、貝塚・古墳・住居跡などの遺跡で、土中に埋もれているものが埋蔵文化財に該当します。
文化財保護法では、周知の埋蔵文化財包蔵地において、土木工事などの開発事業を行う場合には、工事着工の60日前までに都道府県・政令指定都市・市区町村等の教育委員会に事前の届出等を行わなければなりません(文化財保護法第93・第94条)。また、新たに遺跡を発見した場合にも届出等を行わなければなりません(文化財保護法第96・第97条)。
周知の埋蔵文化財包蔵地内において、工事の段階で遺跡が発掘された場合は、その後の工事を一時中断させ、教育委員会等と協議をしなければならないこともあるため、周知の埋蔵文化財包蔵地内での不動産取引を行う場合は、当初の工事計画に影響が出る可能性も考慮する必要があります。
また、原則として、周知の埋蔵文化財包蔵地内の場合は届出が必要ですが、開発工事等ですでに消滅している周知の埋蔵文化財包蔵地内の場合、文化財保護法93条に基づく届出が不要な場合もあります。この取り扱いは行政により判断が異なるため、不動産取引をする行政ごとに確認をしましょう。