都市再生特別地区
都市再生特別地区の指定
都市再生緊急整備地域のうち、都市の再生に貢献し、土地の合理的かつ健全な高度利用を図る特別の用途、容積、高さ、配列等の建築物の建築を誘導する必要があると認められる区域には、都市計画内に都市再生特別地区を定めることができます(都市再生特別措置法第36条第1項)。
ここでいう「高度利用」の高度とは、土地上に小さな建築物ではなく、より大きな建築物を建てることで、土地をより高度に利用するということを意味します。
たとえば、都市再生特別地区内の建築物としては「あべのハルカス」などがあります。あべのハルカスは、地上60階建て、高さ300mで、建築当初は日本で最も高い超高層ビルでした。このように、より大きく、より高度な建築物を建てて土地を利用することを可能にするのが、都市再生特別地区の目的です。
都市再生特別地区の指定の効果
都市再生特別地区は、都市再生特別措置法における都市計画等の特例として定められています。そのため、都市再生特別地区に指定されると、都市の再生拠点として、都市再生緊急整備地域内において、建築基準の定める用途規制などの一般的な規制を適用せずに自由度の高い計画を定めることができます。したがって、都市再生特別地区においては、都市再生特別措置法、都市計画法、及び建築基準法の様々な規制の適用が除外されます。
都市再生特別措置法との関係
都市再生特別措置法第36条第2項では、都市再生特別地区の制限が規定されています。
都市再生特別地区に関する都市計画では、建築物等の誘導すべき用途、建築物の容積率(延べ面積の敷地面積に対する割合)の最高限度及び最低限度、建築物の建蔽率(建築面積の敷地面積に対する割合)の最高限度、建築物の建築面積の最低限度、建築物の高さの最高限度並びに壁面の位置の制限を定める必要があります。
このうち、建築物の容積率の最高限度は10分の40以上の数値でなければなりません。また、建築物の高さの最高限度及び壁面の位置の制限は、当該地区にふさわしい高さ、配列等を備えた建築物の建築が誘導されること、建築物の敷地に道路に接する有効な空き地が確保されること等により、当該都市再生特別地区における防災、交通、衛生等に関する機能が確保されるように定める必要があります。
したがって、都市再生特別地区内の建築物は、容積率等の最高限度を自由に定めることができる点で自由度の高い建築計画を立てることが可能と言えます。
都市計画法との関係
都市再生特別地区は都市計画法における地域地区に当たります。そのため、既存の用途地域等に基づく規制は適用除外となり、用途等の制限を新たに都市計画において定めることができます。
建築基準法との関係
建築基準法によると、都市再生特別地区において用途地域が定められた場合は、同法の用途地域による用途制限及び容積率制限、斜線制限、高度地区による高さ制限、日陰規制などは適用除外となります。