手付金等の保全措置

手付金等の保全措置について

手付金と聞いて、何を思い浮かべますか?
手付金は、物件の引き渡し前に買主が売主に払う前払い金のようなものです。
このように買主が売主に支払う前払い金には「手付金、内金、中間金」というものがありますがこれらを総じて「手付金等」と呼んでいます。
もし、何かの理由で売主が買主に対して物件の引き渡しができなくなった場合には、売主は飼い主に手付金等の返還の義務が生じますが、売主は確実に返還されることを担保するために手付金等の保全について必要な措置を講じなければなりません。
これを手付金等の保全処置といいます。
今回は、手付金等の保全について解説します。

1.手付金等とは

冒頭でも述べましたが、手付金等とは、売買物件の全部または一部として買主側から売主側に支払われる金銭をいいます。
金銭には手付金、内金、中間金などが含まれ、売買契約の締結の日以後、宅地や建物の引き渡し前に支払われるものを総じて、手付金等と呼称しています。
このように手付金等とは、宅地、建物の引き渡し前に支払われる金銭であって最終的には売買代金の一部として充当されます。
つまり、売買代金から手付金等が差し引かれて残った金銭を残金として買主は物件引き渡し時に支払わなければなりません。

2.手付金等の保全措置

手付金等は支払ったのに、物件の引き渡し前に不動産会社(宅建業者)が倒産してしまったらどうでしょう。
物件の引き渡しはおろか、折角、支払った手付金等まで返還されない恐れが生じます。
そのようなことが起こらないように不動産会社は、買主から手付金等を受け取る前に銀行等と保証契約を結んで万一に備えて、手付金等の保全措置(宅建取引業第41条)を講じなければなりません。
しかし、手付金等の支払いの額によっては、保全措置を必ず必要はありません。
また、物件の所有権移転登記が終わっている場合にも保全措置は必要ありません。

3.手付金等の保全の必要がない場合

売買契約時における手付金等を受領する場合は、原則、手付金等の保全措置を講じなければなりません。
しかし、下記のような場合は、保全措置は必要ありません。
(1)当該物件の所有権移転登記が完了している場合
(2)当該物件が未完成物件の場合は、売買代金の5%以下かつ1,000万円以下
(3)当該物件が完成物件の場合は、売買代金の10%以下かつ1,000万円以下
具体的な例を示しますと、例えば、未完成物件で4,000万円の売買代金のうち買主が、売買代金の5%(200万円)以下の手付金等を受領する場合は、保全措置は講ずる必要はありません。

4.保全措置には

保全措置には次のような種類があります。
(1)銀行等と契約する  不動産会社の倒産など万一に備えて、銀行等が連帯保証するという保証委託契約を結び、保証証書を  買主に交付する。   この方法は、完成物件、未完成物件の両方に使えます。
(2)保険会社と契約する  万一に備えて、保険会社と保証保険契約を結び、保険証書を買主に交付する。  この方法は、未完成物件、完成物件の両方に使えます。
(3)指定保管機関による保管  万一に備えて、不動産指定保証機関(保証協会)が買主のために手付金を保管してくれる。  この方法は、完成物件のみにしか使えません。

まとめ

手付金等の保全措置について簡単に解説しました。
手付金等の保全措置は、万一に備えた買主に対する保証制度です。
不動産売買では、必要な保全措置ですからよく理解しておく必要があります。