特定都市河川浸水被害対策法

特定都市河川浸水被害対策法について

この法律の目的は、特定都市河川流域における浸水被害の防止のための対策の推進を図り、浸水被害から国民の生命・身体・財産を保護する点にあります。

国の義務

国土交通大臣又は都道府県知事が特定都市河川及び特定都市河川流域を指定します。その後、河川管理者・下水道管理者・都道府県知事・市町村長が協力して、総合的な浸水被害対策のための流域水害対策計画を策定します。
特定都市河川とは、都市部を流れる河川であり、その流域において著しい浸水被害が発生する恐れがあるにもかかわらず、河道又は洪水調節ダムの整備による浸水被害の防止が様々な条件の特殊性により困難なものを言います。
特定都市河川流域とは、特定都市河川の流域として指定された区域を言います。
浸水被害とは、洪水又は雨水出水による浸水によって国民の生命、身体又は財産に被害が生じることを言います。

特定都市河川流域における規制等

雨水浸透阻害行為の許可等

特定都市河川流域内の宅地等以外の土地において、宅地等にするために行う土地の形質の変更、土地の舗装、その他土地からの流出雨水量を防火させる恐れのある行為であって、雨水の浸透を著しく妨げる恐れのある行為をするには、都道府県知事等の許可を受ける必要があります。
許可を受けた後に工事を完了し、又は工事を廃止したときは、その旨を都道府県知事等に届け出なければなりません。そして、都道府県知事等は当該工事が基準を満たしているか検査します。
雨水貯留浸透施設について、施設の全部または一部の埋め立て、施設の敷地である土地の区域における建築物等の新築・改築・増築、施設が設置されている建築物等の改築・除却等をする場合にも都道府県知事等の許可を要します。

保全調整池

特定都市河川流域内に政令で定める規模以上の防災調整池が存する都道府県では、当該防災調整池の雨水を一時的に貯留する機能が当該特定都市河川流域における浸水被害の防止を図るために有用であると認めるときは、当該防災調整池を保全調整池として指定することができます。
保全調整池について、その全部または一部の埋め立て、その池の敷地である土地の区域における建築物等の新築・改築・増築、その池が設置されている建築物等の改築・除却等の行為をする場合には、行為に着手する日の1か月前までに、行為の種類、場所、設計又は施工方法、着手予定日その他の事項を都道府県知事等に届け出る必要があります。

貯留機能保全区域

都道府県知事等は、流域水害対策計画に定められた貯留機能保全区域の指定の方針に基づき、かつ、当該計画に定められた都市浸水想定を踏まえて、河川に隣接する低地その他の河川の氾濫に伴い浸入した水又は雨水を一時的に貯留する機能を有する土地の区域のうち都市浸水の拡大を抑制する効用があると認められるものを貯留機能保全区域として指定することができます。
貯留機能保全区域内の土地において盛土・塀の設置その他これらに類する行為で当該土地が有する河川の氾濫に伴い浸入した水又は雨水を一時的に潮流する機能を阻害する行為をしようとするときは、その行為に着手する日の1か月前までに行為の種類等の事項を都道府県知事等に届け出なければなりません。

浸水被害防止区域

特定都市河川流域のうち、洪水又は雨水出水が発生した場合には建築物が損壊し、又は浸水、住民その他の者の生命・身体に著しい危害が生ずる恐れがあると認められる土地の区域で、一定の開発行為及び一定の建築物の建築又は用途の変更の制限をすべき土地の区域を、浸水被害防止区域として指定することができます。
浸水被害防止区域内において、開発行為のうち土地の形質の変更を伴うものであって当該開発行為をする土地の区域内において建築が予定されている建築物の用途が制限用途である行為をする者は、都道府県知事等の許可を受けなければなりません。
制限用途とは、住宅、高齢者・障碍者・乳幼児その他の特に防災上の配慮を要するものが利用する社会福祉施設・学校・医療施設、その他市町村の条例で定める用途のことを言います。