砂防法

砂防法とは

砂防法は、土砂災害から国民の生命や生活を守るために、土砂災害の発生を防止するための工事及び発生後の復旧工事、また、土砂災害の発生を予防するための施策を講じることを定めた法律です。その目的は、安全な環境の確保及び河川の機能の保全を図ることにも及びます。

砂防設備を要する土地等の指定

砂防設備を要する土地等又はこの法律により治水上砂防のための行為を禁止・制限すべき土地については、国土交通大臣によって指定されます。これを砂防指定地と呼びます。
砂防設備とは、国土交通大臣が指定した土地において治水上砂防のために設立されるものを言います。また、砂防設備のために施行する作業のことは砂防工事と言います。

土地の制限

砂防指定地においては、都道府県知事は治水上の砂防のための一定の工事を禁止又は制限することができます。都道府県の利益を保全するために必要であるか又はその利害関係が1つの都道府県に留まらないときは、国土交通大臣は職権により禁止・制限行為を行うことができます。
禁止・制限行為については、都道府県の条例で定められます。その内容は、土地の堀削・切土・盛土・土石の採取・立竹林の伐採等に及びます。
具体的には、宅地造成・開墾その他土地の形状を変更すること、砂防設備に工作物を設置し継続して砂防設備を使用すること、河川又は流路に流水する恐れのある場所で土石や鉱物等を堆積又は投棄すること、竹木を伐採したり滑下または地引により運搬したりすること、芝草を掘り取ることなどがあります。
これらの行為を行う場合には都道府県知事の許可が必要です。

都道府県知事の義務と砂防に関する費用負担

都道府県知事の義務

都道府県知事は、その管内において、国土交通大臣により指定された土地を監視し、及び管内における砂防施設を管理し、工事し、維持させる義務を負います。

砂防に関する費用負担

砂防指定地の監視及び砂防施設の管理・維持・工事に要する費用は都道府県の負担となります。なお、都道府県知事は、その管内の公共団体に砂防に関する費用の一部を負担させることもできます。
砂防工事において他の工事・作業その他の行為が必要な時は、その費用は工事の必要な程度においてその原因である工事・作業その他の行為に関して費用を負担する人が負担することになります。

土地所有者の権利義務・収入等

砂防工事のために必要な時は、都道府県知事は管内の土地や森林の所有者に命じて、その所有に係る土石、砂礫、芝草、竹木及び運搬具を供給させることができます。その際、補償金として時価相当額が所有者に支払われます。
砂防指定地あるいはその土地にある森林の所有者、又はその砂防施設の建設者は都道府県から砂防設備より生じた収入をもらえる場合があります。

違反行為に対する強制手続き

国土交通大臣又は都道府県知事による許可を受けた場合において、必要と認められるときは、その許可を取り消されたり、その効力を停止されたり、またはその条件を変更しあるいは設備の変更・原状回復を命じられたり、許可された事項により生じる損害を予防するための設備の建設を命じされたりします。

具体的な砂防設備とは

たとえば、長雨や集中豪雨により山腹や川底の石・土砂が一気に下流へと流されるような土石流が発生すると、一瞬で人家や畑に被害が生じてしまいます。これを防止するための砂防設備として、砂防ダムなどがあります。

砂防指定地の調べ方

どの場所が砂防指定地にあたるかについては、各都道府県に問い合わせると確認することができます。また、国土交通省のホームページに都道府県砂防主管課一覧表があり、参考になります。