私道の変更廃止制限
2.私道を変更・廃止できる。できない。ための条件は
私道を変更・廃止できる。できない。かについては、私道の持つ性質により異なっています。
以下、その性質ごとに確認してみましょう。
2-1.所有者のみが利用している
所有者は所有する土地は自由に使用、収益、処分できる権利を有しています。
私道も所有者の私的な所有財産ですから使用や処分についても自由です。
所有者以外に第3者が利用・活用していない私道であれば変更・廃止処分は可能です。
2-2.登記簿に公衆用道路と表示されている
私道ではあるが、不動産登記簿に公衆の用に供する道路として登記され、固定資産税や都市計画税について非課税になっている場合でも、私道の変更・廃止については法律上は可能です。
この場合にも条件があり、他にこの道路を利用する第3者がいないことまたは私道廃止後の地目を公衆用道路から宅地へと変更し、固定資産税など税金を払えば変更・廃止は可能です。
2-3.位置指定道路に指定されている
私道は個人の財産ですから本来的には自由に利用・処分ができるのが原則です。
しかし、建築基準法で道路に指定され、第3者が接道要件を満たして建物物の建築が認められている場合(建築基準法第35条)は、法律を無視して勝手に変更・廃止はできません。
また、私道を利用していた第3者が建物を解体し更地にした場合は、私道の所有者は第三者が利用しないことを条件に私道を専用の宅地に取り込むことは可能ですが、市町村に位置指定道路の撤回をしてもらわないと私道であった部分を所有者の敷地として組み入れることはできません。
2-4.通行権が設定されている
建築基準法35条により道路として指定されていない私道であっても、当該私道について通行権を有する人がいる場合には、通行人の承諾がない場合は、私道の廃止はできません。
2-5.2項道路として指定されている
道路には建築基準法第42条2項により、中心部が公道に、両端が私道という混合型の場合もあります。
幅員が4m未満の道路では、その中心部から左右2m以上を確保することが道路の条件とみなされます。
このように個人の敷地内まで道路が拡張されることをセットバックといい、セットバックされたものを2項道路(みなし道路)と呼んでいます。
2項道路は位置指定道路と同様に、市町村によって指定を撤回してもらわないとこれを建物を建てる際の敷地として組み入れることはできません。
つまり、敷地の所有者は、勝手にセットバックされた敷地の変更・廃止はできません。
3.不動産売買においては重要事項説明書で説明する
不動産の売買にあたっては、重要事項説明書の中に私道の変更または廃止の制限という項目があります。
これは個人の所有する私道であっても、その私道に接して第三者の建築物の敷地や通行権など公共性が備わっている場合には、所有者が勝手に私道を変更したり廃止したりすることを禁じているというものを重要事項説明書で説明しなければならないものです。
所有者が勝手に変更してしまったり、廃止してしまったりすると、その私道を建築基準法の道路として家を建てたり、通行している第三者が大きな損害を被ります。
また、変更や廃止によっては不動産価値が著しく下がることも考えられます。
不動産売買においては、重要な説明事項としてこれを説明しなければなりません。