臨港地区
定義
都市計画法第9条23項には、臨港地区について、「港湾を管理運営するため定める地区」と規定されています。このように、臨港地区とは、港湾の管理運営を円滑に行うための地区を言い、都市計画法や港湾法の中で出てくる用語です。
港湾とは、たとえば、鉄筋コンクリート造等の人口構造物によって外海と内海を離隔するとともに内海の静穏を確保し、かつ、航路や岸壁の整備により船舶が停泊・荷下ろしを可能となるような機能が確保された水域を言います。
臨港地区は、港湾計画による物流サービス等のための土地利用計画を確保し、その地区に適した事業所の立地や事業活動の実現を目的として、都道府県知事が国土交通大臣の同意を得て指定します。港湾法第4章に臨港地区についての必要な制限等が規定されています。
臨港地区内の分区とは
分区の種類
分区とは、臨港地区内で機能や目的別に区分して指定した区域を言います。港湾は利用方法により機能が異なるため、臨港地区を機能別に分けることで、目的の異なる建物の混在を防止することが可能となります。
分区には、次のようなものがあります。
・旅客または一般貨物の取扱いのための商港区
・石炭、鉱石その他の大量の物資の取扱いのための特殊物資港区
・工場その他工業用施設を設置するための工業港区
・鉄道と鉄道連絡船との連絡を行うための鉄道連絡港区
・水産物を取り扱い、または漁船の出魚の準備のための漁港区
・船舶用燃料用の貯蔵・補給を行うためのバンカー区
・爆発物その他の危険物の取扱いのための保安港区
・スポーツ、レクリエーションのためのヨット、モーターボート等が利用するためのマリーナ港区
・観光客が利用するクルーズ港区
・景観を整備し、港湾関係者の厚生の増進を図るための修景厚生港区
なお、港湾法では、臨港地区内に分区を指定することができると定めており、分区の指定は義務となってはいません。そのため、臨港地区内でも分区が指定されていないエリアも存在します。
分区内における制限
分区内では、それぞれの目的に従って、条例により構築物の用途が規制されています。そのため、建物や工作物を建設する前には分区に関する条例を確認する必要があります。
なお、分区の指定があった臨港地区においては、建築基準法第46条(用途地域等)及び第49条(特別用途地区)の規定は適用されないため、建築基準法に基づく建築物の用途の制限は適用されません。