建築協定
2.建築協定で定めることができるもの
建築基準法や都市計画法は国が定めた建築物に関する取り決めです。
一方、建築協定は同じ地域に住む住民によって定められた建築物に関する取り決めです。
建築協定では「建築物の敷地、用途、位置、構造、形態、意匠、建築設備」などについて住民の合意に基づいて定めることができます。
具体的な例については次のようなものです。
・最低の敷地面積の制限、土地の分割禁止などができる
・建物の階数や高さを制限できる。
・建物の建ぺい率や容積率を制限できる。
・共同住宅の禁止や兼用住宅の制限などができる。
・建物の色やデザイン意匠を制限できる。
・看板や広告などを制限できる
・隣地や道路境界線から建物の距離を定めることができる。
ただし、建築協定では建築基準法などの法律により定められている建築制限の緩和はできません。
3.建築協定の要件には
3-1.認可
建築協定の要件には原則、建築協定を定める際には、原則的に住民全員の合意が必要です。
この住民合意に反対する住民の有する土地の区画は、建築協定の区域から外されてしまいますから、結果としては建築協定は区域内の全員の合意に基づくものでしょう。
建築協定の策定に当たっては「建築協定の区域」、「建築物の基準に関すること」、「建築協定の有効期限」、「違反があった場合の措置」を定めた建築協定書を作成し、建築行政を担当する特定行政庁(市町村長もしくは都道府県知事)に申請し、認可を受けなければなりません。
建築協定書は、特定行政庁で審査、意見の聴取などの手続きを経て認可され、官報による公告をもって効力が生じます。
3-2.変更および廃止
建築協定の変更および廃止は次の手続きをふみます。
変更には、土地所有者全員の合意に基づく申請が必要で、申請に基づいて特定行政庁による審査など諸手続きを経て、認可、広告されることで効力が生じます。
廃止には土地所有者の過半数の合意により申請が行われ、変更の申請と同じように特定行政庁の諸手続きを経て、認可、広告され効力が生じます。
3-3.運営委員会
建築協定には、協定区域内の住民による運営委員会が存在します。
運営委員会は、建築協定区域内で起こる建築行為に対して審査を行います。
建築行為で違反者が出た場合は、違反工事の停止や是正処置を勧告しますが、改善されない場合は裁判所に提訴するなどの措置を取ることができます。
3-4.一人協定
建築協定の中で特異なものに一人協定があります。
一人協定は分譲地を販売する事業者など土地の所有者が一人であらかじめ定めて置くものです。
ただし、その協定の効力が発生するのは認可の日から3年以内に購入者など土地の所有者が2人以上になったときです。
4.建築協定の認可地区かどうかを調べるには
新しく土地を購入し家を建てたいときや住宅を購入したいときに建築協定地なのかどうか気になるところです。
建築協定が認可されている区画は、現在、全国で約3,000ほどありますが、どこが建築協定地区として認可されているのかは見た目ではなかなか分かりません。
建築協定に該当している区画かどうかを調べるには次のような方法があります。
インターネットで検索して調べたい場合はGoogleやYahooで「●●市 建築協定」と入力し、検索すれば簡単に調べられます。
また、どうしてもインターネットで検索しても分からない場合は、知りたい区画の所在する市町村の窓口で正確な情報を得ることができますので利用しましょう。