緑化地域

緑化地域とは

最近よく耳にするものにヒートアイランドという言葉があります。
ヒートアイランド効果により都市部では高温化が懸念されていますが、その効果を少しでも和らげようと、都市部では街の緑化に対する意識が高まり「みどりの街」を創出する活動が始まっています。
その中心的な役割を担うものが「緑化地域」の指定です。
ここでは、緑化地域の指定の背景と、指定にともなう義務などについて簡単に解説します。

1.緑化地域とは

都市計画により開発が進められた都市部市街地では、環境破壊が進み、生活に必要な緑地の不足が深刻な問題となってきていました。
そこでヒートアイランドの防止や触れ合いの場としての緑地環境を整備する目的で緑化政策が始まりました。
「緑化地域」とは、都市部市街地において効果的に緑地を創出するために、一定規模以上の敷地を有する建築物の「新築」や「増築」を行う場合は、定められた割合以上の緑化を義務付けた地域をいいます。
2017年3月現在、東京都世田谷区や神奈川県横浜市など4つの地域が指定されています。

2.緑化義務と緑化免除

緑化の義務の対象になる建築物と義務が免除になる建築物は次のようなものです。

2-1.緑化義務の対象

緑化の義務付けの対象となるものは、敷地面積が1,000平方メートル以上の建築物の新築または増築を行う場合です。
市町村は、特に必要のある場合は、対象となる敷地面積について条例で300平方メートルまで引き下げることができます。
また増築については、従前の床面積の2割以上の増築を行う場合が対象です、

2-2.緑化の義務の対象外

市町村が緑化地域を指定し公示した時点において、その地域内ですでに工事が着手されていた建物の新築または増築は緑化の義務付けの規制から除外されます。
また建築基準法の建ぺい率の制限等が除外されている建築物は、緑化の義務付けの規制から除外されます。
学校や工場などその用途や敷地の状況から市町村が許可した建築物などが除外の対象です。

3.緑化の具体例には

一定規模以上の敷地を有する建築物の新築や増築を行う場合は、次のような方法により緑地を進めなければなりません。
なお、都市計画で定める緑化率の最低限度の上限は「敷地面積の25パーセント」で、これは建築基準法関係規定規定とみなされ、「建築確認」のための要件です。
緑化のための施設区分は次の6種類です。
・樹木
・芝、その他の地被植物
・花壇、その他これに類するもの
・壁面緑化
・水流、池、その他これらに類するもの
・上記区分に付属して設けられる園路、土留、その他の施設
各緑化施設区分の面積算定方法については、各区分ごとに詳細に決められています。

4.緑化のない違反建築物への処置等

緑化地域内の緑化のない違法建築物に対しては、市町村長は是正のための措置を取ることができますが、
違反建築物の是正する期限を定めて、緑化施設の設置、植栽など建造物の建築・増築などの行為の許可を満たすための措置を命ずることができます。
違反した建築物が国や地方公共団体である場合は、建築物を管理する機関に対して是正処置について要請ができます。

まとめ

緑化地域とは、都市計画に定められる地域地区の一つですが、緑が不足している都市部の市街地において、一定規模以上の新築や増築を行う場合に、敷地面積の一定割合以上の緑化を義務付けられた地域のことをいいます。
現在は緑化地域として指定された地域は少ないですが、今後は、規制の対象となる地域は増えてくるでしょう。
緑化地域についてもっと関心を深めたいものですね。