布基礎・ベタ基礎
2.布基礎とベタ基礎
住宅の基礎部は、主に鉄筋コンクリートで固められており、建物の重さや振動、湿気などから建物を保護するような役割を果たす構造になっています。
その役割を担うのが布基礎とベタ基礎ですが、この2つの工法には構造上で大きな違いがあります。
また、建物の強度や耐震性も異なってきます。
2-1.布基礎の特徴
布基礎とは、古くから日本の住宅の基礎部分の施工に見られる工法です。
これは、逆T字状の断面を持ち、鉄筋入りのコンクリートを基礎とな柱や壁などの下に打ち込む工法です。
柱や壁の支点となる部分には鉄筋コンクリートを使用しますが、その他の部分には鉄筋のない防湿用のコンクリートを薄く敷き詰めます。しかし、厚みは5~6cm程度と強度は期待できません。
逆T字状の基礎部分だけで建物全体を支えるために、建物全体の強度や耐震度は下がります。
2-2.ベタ基礎の特徴
ベタ基礎は建物の立ち上がり部分と床一面に、鉄筋入りのコンクリートを流し込む工法です。
床面には、布基礎と違って、15cm程度と厚みのある鉄筋入りのコンクリートを敷き詰めます。
布基礎は、点で建物を支える工法ですが、ベタ基礎は床面全体で支える工法ですので建物全体の強度や耐震性が上がります。
この工法は耐震性に富んでいるために、神戸大震災後に急速に普及し、今では多くの住宅の基礎として採用されています。
3.2つの工法のメリットとデメリット
布基礎ベタ基礎には特徴的な違いがありますが、この2つの工法にはそれぞれメリット・デメリットもあります。
メリット・デメリットは次のようなものです。
3-1.布基礎の場合は
布基礎のメリットは、床部分に鉄筋を使わないことと、コンクリートの厚みも薄く済ませるので建築にかかるコストを低く抑えられることです。
また、鉄筋を組まないなど施行にかかる時間も短縮できます。
デメリットは、建物の強度と耐震性が下がることです。また、防湿用のコンクリートは厚みが薄く、地面からの湿気も上がりやすくなり、シロアリの被害を受けやすくなります。
3-2.ベタ基礎の場合は
ベタ基礎のメリットは、建物の強度と耐震性が増すことです。
また、床面を厚めのコンクリートを敷き詰めることで、不同沈下が起こりにくく、湿気が建物へと上がりにくいのでシロアリの被害を防ぐ効果が期待できます。
デメリットは、布基礎に比べて鉄筋やコンクリートの使用量が増えるために、建築にかかるコストが膨らむことです。また、施工にかかる時間も長くなります。