敷地権
1.敷地権とはいったい何?
敷地権を説明する前に、建物を建てる場合には、建物を建てるための土地が必要です。
そこで土地の上に建物を建てるとき、
一戸建ての場合は、所有権ごとに「土地」と「建物」は別々登記しなければなりません。
しかし、マンションやオフィスビルなど区分建物などの場合は、一つの土地の上に複数の区分された建物が建っているために、所有権登記を複雑にしています。
敷地権とは、区分所有建物である一棟の建物の敷地に関する権利をいい、その権利は原則として区分所有建物と分離して処分することはできません。
簡単に言うと、敷地権とはマンションなど区分所有建物の土地の権利であり、建物と一体化しているために建物の部分と土地の部分を単独では処分できない権利のことです。
2.法改正により単独の処分(売買)を禁止
一戸建ての場合は、土地と建物は分離して単独で処分が可能です。
しかし、マンションなど区分建物の敷地権は、単独では処分はできません。
もし、単独で売買できるとなると、マンションを所有しても建物については権利はあるが、土地については他の者に権利があって利用できないとなると、権利関係が複雑になり争いごとに発展しかねません。
敷地権は、昭和58年の区分所有法改正により法律化されたものですが、それ以前はマンションなどの建物だけ土地だけと言った分離売買が頻繁に行われていたために、年中、登記簿謄本を書き換える事態が発生するなど土地・建物の権利関係を複雑かつ困難にしていました。
そこで、法改正が行われ、建物と敷地の権利を分離処分(売買)できないことになりました。
3.敷地権と敷地利用権は同じなの
敷地権と敷地利用権と聞くとどちらも同じような言葉なので混同してしまいそうですが、この2つには次のような違いがあります。
敷地権とは、前述したように一棟の区分所有建物(マンションの一室など)の敷地に関する権利形態のことでせあり、土地と建物が一体として登記されていて、所有する専有部分と分離しては処分(売買)できない権利のことをいいます。
一方、敷地利用権とは、マンションなどが建つ土地を利用できる権利のことをいいます。
区分所有建物ではマンションなどの敷地は、区分所有者全員の共用部分とされているためにこの敷地利用権とは区分所有者の持っている共用持ち分と言い換えることができます。
この敷地利用権には、「所有権」の他に、「地上権」、「賃借権」などの種類も含まれます。
注意したいのは、敷地利用権が所有権の場合は区分所有者全員で敷地を共有することになりますが、所有権以外の権利、地上権や賃借権を有する者があれば、敷地について準共有しているということになります。