耐震診断
1.耐震診断とは
耐震診断とは、既存の建物の地震の対する強度を調査することにより、建物の「倒壊や崩壊」のリスクを診断し、安全性を確認し、担保とするために行うものです。
地震では横揺れが建物に与える影響が大きく、耐震診断では横揺れ、つまり水平力に関する強度を診断する調査を行うのが重要だと言われています。
特に、昭和時代に建てられた家屋は、横揺れに脆弱(ぜいじゃく)だという調査結果が報告されています。
古い家屋をお持ちなら、ぜひとも耐震診断は受けるべきでしょう。
また、今後、新しく建物を建てる場合の耐震基準は、「建築基準法」や「建築基準施行令」の法令で規定されていますので、基準に達する耐震性を有する必要があります。
2.診断方法には
耐震診断については、一般的に専門的な知識を持ちかつ都道府県に登録されている耐震診断士が行います。
耐震診断士が行う建物の耐震を診断する方法には、次のような方法があります。
耐震診断法につきましては、木造住宅と非木造住宅(鉄筋コンクリート造、鉄骨・鉄筋コンクリート造)ではそれぞれに違いがあります。
2-1.木造住宅の場合
(1) 個人でできる耐震診断
この方法は、木造住宅の所有者である個人でもできる簡単な方法です。
アンケート形式の10個程度の設問に答えるだけで、概ね住宅の耐震性が分かります。
(2) 一般診断法
精密診断が必要であるかについての判断材料とします。これは目視による非破壊診断です。
(3) 精密診断法
一般診断で精密診断の必要があると判断された場合、住宅の精密な調査が行われます。
必要に応じて、天井や壁の一部を解体して住宅の状況を調査します耐震性を調査します。
2-2.非木造住宅の場合
(1) 第1診断法
建物の構造を簡易な計算法を用いて調査します。
建物の重量と柱、壁の水平断面積およびコンクリートの強度によって計算し調査します。
(2) 第2診断法
建物の柱や壁を高度な計算方法を用いて調査します。
柱と壁のコンクリート強度と鉄筋量などを計算し、建物の粘りや強さ(耐力)を計算し調査します。
(3) 第3次診断
さらに高度な計算方法を用いて調査します。
2次診断の調査で行った柱、壁に加えて梁まで含めてより詳細な計算を行い調査します。
これらの診断を通して、建物の地震に対する耐震強度や形状による粘り強さの程度を計算して調査します。それぞれの値が大きいほど建物の耐震性が高いものと評価されます。
3.耐震診断のメリット
耐震診断を行うことによるメリットは次のようなものです。
(1) 住宅の耐震性が分かる
耐震診断を受けることで、自宅の耐震強度が分かります。
耐震強度が分かれば、自宅の耐震のための改修工事が必要かどうかの判断材料となります。
また、専門の耐震診断士に調査を依頼することで、悪質な耐震改修業者の違法な詐欺商法に騙されるこ
とを防止できます。
(2) 減税や耐震保険の割引が受けられる
耐震基準適合証明書は、建物が耐震基準を満たしているという証明書です。
耐震診断を受けて、耐震基準を満たすリフォームを行った場合は、固定資産税の減税や耐震保険料の割
引が受けられます。
また、耐震基準適合証明書の付いた物件を取得した場合は、固定資産税の減税、住宅ローンの減税、
不動産取得税、登録免許税の減額されるメリットがあります。もちろん耐震保険料の割引も受けられます。